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IAできるかな 第3話:三種の神器?と座って考えない話

たまりにたまった使用済み模造紙達(※ちなみにさきほど処分されました…)

たまりにたまった使用済み模造紙達(※ちなみにさきほど処分されました…)

どうもどうも、インフォメーションアーキテクトの宮内です。

前回はつらつらと企画・提案段階において弊社が抱えていた問題点について書きました
そして、問題が何も解決しないまま終わってしまいましたが、その辺りの問題をどのように解決したのか、ないしは解決しようとしているのかについて何回かに分けて書いていきたいと思います。

HCD3種の神器…?

自分が産業技術大学院大学(以下 産技大)の履修証明プログラムで、どのワークショップでも必ずと言って良いほど出てくる物が3つありました。「三種の神器」とでも言いましょうか。以下の3つです。

  • 模造紙
  • 付箋紙
  • マーカー

インタビューで得られた情報を付箋に書き出したり、ワールドカフェで得られたアイデアを1つ1つ付箋に抜き出したり、ブレストで自分のアイデアを書き出しては見せたり……、1枚の付箋という単位で出される情報を模造紙の上で貼ったりはがしたり移動させたりしながら少しずつグルーピングしていったり……。

ワークショップによって使用目的は様々でしたが、

  • 自分の中にあるアイデア・情報を紙に書いて書き出す
  • 紙に書いて書き出すことによって、その情報を確実にその場のメンバーと共有する

…という点で共通していました。

また、ボールペンではなくマーカーを使うことを強調されていたのも共通していました。
付箋紙に書き出された情報を、みんなで整理していく際、その付箋の集まりをある程度の距離から俯瞰して見る・読むことができるだけの文字の太さと大きさが必要でした。この点においては、

  • 書き出された情報を、メンバー全員で試行錯誤しながら整理することで、一つのアイデアにまとめる課程を共有する

ということも共通していたと思います。

とにかく、紙に書く!貼る!はがす!まとめる!切る!の繰り返し。履修証明プログラム受講期間中にかなりの枚数の付箋と模造紙をあの場で消費していたと思います。

貴方の頭の中を一度見せてください、ということ

会社の備品として常備されるようになった付箋紙&マーカー。重宝してます。

会社の備品として常備されるようになった付箋紙&マーカー。重宝してます。

前回、企画提案段階の問題として以下のものを挙げました。

さきほどの「ユーザー」の話もそうですが、てっきりコンセンサスが取れていると思っていたことが、人によってバラバラで、それの調整に時間がかかりがち。

基本的には口頭でのやりとりがミーティング中続くが故に、そのやりとりのなかで出たアイデアが何か目に見える形でその場で提示されるのでは無く、ミーティング後議事録といった形でまとめられるため、ミーティングをやっている最中、どのようなプロセスを経てアイデアが固まってきているのかがちゃんと共有されないまま進行していることが希にありました。

この「各々思い描いているものがバラバラ」な状況に比べ、産技大でのワークショップは(手法に不慣れで試行錯誤は続きましたが)確実に何かしらのアイデアがまとまっていく印象がありました。

さきほど挙げた、「三種の神器」を使っているから…だけではなく、そもそも「ただ口頭でのやりとりを続ける」のではなく「自分の頭の中にある情報を目で見える形でアウトプットする」点が大きな違いでした。

このアウトプットを認知心理学用語で「外化」と呼ぶそうです。(産技大でお世話になった浅野先生のブログより引用)

手を使って行う作業の最も単純なことは、自分の頭の中身を外に出すことだ。
頭の中身を「話す」は「離す」だという、いっそカードに書きだしてしまおう。
自分の頭の中身を外に出すことを認知心理学用語で「外化」という。
ワークショップにおけるコツの研究(8)壁に向かってブレストしよう | 情報デザイン研究室

ただ机の上で議論するだけでは意味がない

また、産技大の各種ワークショップで共通していたもう1つの点がありました。それは、

(比較的)席にはつかずに、模造紙を取り囲むようにして立ちながら検討する

…ということでした。

これも、弊社のミーティングでよくありがちだった光景なのですが、皆が席に着席してあーでもないこーでもないと議論していると、時間が経つにつれ、視線が徐々に下へ下へと下がっていきます。

疲れによるものかもしれませんが、大抵の場合、手元のノートPCやスマホでメールチェックを始めたり、他の案件の調べ物を始めてしまったり、……と「心ここにあらず」的な人が散見されます。

一方で、産技大のワークショップでは、模造紙を壁や窓に貼り、それを取り囲むようにしてメンバーが立って検討することが多かったです。これによって、自然と視線は前へと行きますし、何より「今検討しているのか」「どういうプロセスでアイデアがまとまっていこうとしているのか」が目の前の模造紙で共有・展開されいます。

前述の浅野先生のブログでも、

最近では資料を机の上に広げるよりも、床や壁に貼って皆がそれを見ながらブレストすることによって意見の交換が活性化することが分かってきた。
ブレストの過程において、意見が属人性を持たず「そこにある意見」として公正公平に扱われ易いからだろう。

と書かれていますが、まさにそういう印象でした。

気がつけば常備品&アレの山

履修証明プログラム受講期間中、週一回社内向けに報告会を行っていましたが、その報告会で真っ先に共有したのがこの「三種の神器」と「立ちながら検討する」ということでした。

その後、特に自分から働きかけたつもりはなかったのですが、企画提案段階で自然と「三種の神器」が使われるようになり、また席に座りながらではなく模造紙を取り囲むようにして検討するスタイルに変わっていきました。今となっては、会社の隅に使用中・使用済みの模造紙が大量に置かれている状況で、また、会社の備品として「三種の神器」が常備されるようにもなりました。

IAやHCDと直接関係の無い話かもしれませんが、企画提案の進め方を大きく変える一つの契機でした。

(次回「”自分たちに都合の良いユーザー像”のやっつけ方(仮)」に続きます)

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