株式会社マックグラフィックアーツ

MGAスタッフブログ - マックグラフィックアーツスタッフの不定期ブログ

手動3Dプリンターで自分の頭の複製を作る!

知り合いの会社が相次いで3Dプリンターを購入し、これ見よがしにテンション高め、もしくはあえて冷静を装ってブログに試用レポートを載せている。客観的に見てたいへん自慢げである。何が言いたいかというと、とても羨ましい。悔しいので二度と言わない。

地味ながら凄いサイト発見!

そんな私の傷ついた自尊心を、メリッと立て直してくれそうなWebサービスが某所で紹介されていた。それが「Paper-Kit.com」。3Dモデルをのりしろ付きペーパークラフトに2€で変換してくれるサイトだ。技術的には凄いのだが、この記事公開時点で「はてぶ 7 users」。地味だしニッチだし、はっきり言うとニーズはほとんど無いんじゃないかと思う。

が、気にせず行こう。

サイトトップのキャプチャ

GIカットがイカしてるね!このマッチョ兄さんは開発者なのかな?

サイトにアクセスすると「Make your head !」というド直球な赤ボタン。だが慌てるな。あとで後悔しないためにも、チュートリアル動画は一通り先に見ておくといい。

このサイト、実は2種類の楽しみ方がある。

  1. 自分の顔写真から頭部のペーパークラフトをつくる 「Head Modeler」
  2. 任意の3Dモデルからペーパークラフトをつくる「Paper Kit」

迷ったらワクワクする方を選べという社訓に則り、自分の頭部を作る ① を選択。
というわけで、ようやく「Make your head !」ボタンを押す。

写真の準備とアップロード

ここで3枚の写真が必要になる。正面、右、左から撮った自分の顔写真だ。こんなヒマな事をしているのを社員に悟られたくはないので、リラックスルームでコッソリと自分撮りしてみたが、非常に暗く、目の死んだ写真になってしまった…。

自分もやってみたいキャハ!という奇特な方のためにアドバイスすると、

  1. 一人で撮ろうとしないこと。
  2. 充分な照明の元で撮影すること。
  3. 撮られる側は静止し、撮る側が回り込んで撮影すること。
画像アップロード画面

3DモデルのベースはGI兄さんだ。

写真が用意できたら、画面上の頭部3面にそれぞれドラッグ&ドロップ。写真をトリミングするインタフェースで周囲の不要部分をカットし、「Crop」ボタンを押す。

トリミング画面

不要部分をトリミングしよう。

Head Modeler の画面1

自動で3Dモデルにマッピングされる。

Head Modeler の画面2

アップロードしただけなので、写真がズレて貼られている。キモい。

3Dモデルを自分仕様に調整する

ワイヤフレームは、まずGlobalモードで「拡大縮小」や「回転( Macだと、Option+ドラッグ )」しながら大まかに位置を合わせ、Vertexモードに切り替えて個々のポリゴンの頂点を移動し、微調整すると良いようだ。頂点を編集すると、リアルタイムで3D窓に反映される。この段階はたいへん根気のいる作業だが、ここを適当に済ませてしまうと人間としてありえない頭部が出来上がってしまうので、念入りに行うこと。

ちなみにこの、自分で自分の顔をいじる作業、端から見たらたいへん不気味だと思う。この自分大好きっぽくて気色悪い行動を『エゴモデリング』と命名しようと思う。

Head Modeler の画面3

ポリゴンの位置やサイズをおおまかに調整する。顔の表面の線がかゆそうだ。

Head Modeler の画面4

ポリゴンの頂点を微調整。根気がいる仕事。昔、サイトウマコトの広告でこんなのがあったなぁと思い出した。

Paper kit ボタンで書き出し設定

そこそこ納得できる( 完璧は無理… )3Dモデルが出来上がったら、いよいよペーパークラフトに書き出すプロセスに入る。モデルの倍率や用紙サイズ、ポリゴンメッシュの細かさ( 右に行くほどポリゴンが多い ➜ 形状がリアル ➜ 工作が地獄 )などを設定し、Orderボタンをクリック。

書き出し設定画面

倍率やポリゴン密度などを設定

ここからはPayPalの決済画面なので、支払いを行う。2€なので今なら250円くらいかな? 支払いが済むとペーパーモデルのPDFファイルがメール添付で送られてくるので、提案書なんかに使う若干厚手のコピー用紙にプリントしよう。ペラッペラの紙だと組み立てる時にコシがなくて結構厄介なので…。

プリントしたシート

今回は6枚になった。

…ここまでマトモにやると2時間はかかる、と思う。

ここからが本編:ひたすら切り抜く

複数枚に分かれたパーツをとにかく切り抜く。カッターと定規で丁寧に切り出していくのだが、これが正直ぶん投げたくなるような単純かつ繊細な作業。特に目や鼻の近くのパーツはいったいどうなってるんだという細かさ。目は疲れるわ腕は笑うわで最後の方は少しおかしい人になっていたと思う。

道具は定規、カッター、のり

今回の相棒たち。カッターはやっぱりNTカッターのA300が定番だね!(写真は別注モデル)

シートのアップ

たとえば目の部分はこんな感じ。

カットしたパーツ

ようやく1枚切り終わった…

カットしたパーツ

全てカットし終わった!

切り抜きに要した時間、正味2時間…。

メッシュに沿って山折り谷折り…

今回の作業で1番折れそうになったのがココ。山折り( ー ー ー )と谷折り( – – – – – )の線の差が分かりにくいだけでなく、頭髪部分などの黒い部分では、折り線が全く見えず、ポリゴンを想像しながら折るというモヤモヤした作業が続く。折りを丁寧にしないと、このあとの接着プロセスで泣きを見るので、ここは我慢しながら黙々と折っていくことに。

ちなみに、のりしろ部分はすべて山折りにすること。谷折りの線が付いていても、それは罠。

折り終わったパーツ

山折り谷折りもすべて終了!

折りに要した時間、2時間半…。

この作業をしている際、唐突に『ド・ナイト』というコトバが思い浮かんだのだが、何のことやらさっぱり思い出せない。手元にネット端末が無いため調べることも出来ず、悶々と『ド・ナイトって何だっけ…ド・ナイトって何だっけ…』と念じながら紙を折り続けるのは正直苦行以外のナニモノでもなかった…。

※ ド・ナイトとは(後で調べた) 浅草キッド司会のテレ朝深夜番組。2004年放送終了。
  年収3000万以上の人だけのための、というおバカ設定だった。湯浅卓氏がいい味出してた。

いよいよ組み立て!手順に注意…。

大量の複雑なパーツを目の前に若干呆然としつつ、頭部などの比較的大きいパーツを貼り合わせはじめる。この選択が地獄への入り口になるとは…。

大きめのパーツ同士はのりしろも大きく、比較的貼り合わせるのは容易だった。たまにポリゴンメッシュの折りが間違っていたりして戸惑う部分もあったものの、概ね良いペースで進む。だが…。パーツの残りが少なくなるにつれ、次第にポリゴンは細かくなっていく。結果としてのりしろの大きさも小さくなる。パーツの形状もみかんアートかよ!という複雑な形状に。

…ここで手順を誤ったことに気がつく。パーツを貼り合わせるには、頭部に片手を入れてのりしろ同士をピタリと合わせ、圧着する必要がある。頭部がざっくり組み上がってしまうと、目や口の部分に小さい穴が空いているだけの状態となり、そこからでは手が入らないのだ。従って、残りの細かいパーツの貼り合わせは困難を極めた…。

後悔しない手順としては、

  1. 細かい部分を組み立てる
  2. そこに、徐々に大きいパーツを貼っていく
  3. 最後に大きいのりしろを閉じて完成させる

のが安全な組み方だと思った。

完成した頭部

だ、誰これ?

ようやく最後のパーツを組み込み、頭部が出来上がった! 組み立てに要した時間、1時間半…。

こんな僕でも3Dになれた!

手動3Dプリンターで自分の頭の複製、出来たけど…で…どうよっていう…。

ビミョ〜! 肌焼けすぎだし! 似てないし! えっと、ポリネシアの方ですよね?

この頭部、絶対自分じゃない気がする。

おふざけ写真1

ちっとも似てないんだよ!

おふざけ写真2

替え玉誕生!って似てないから意味ない!

おふざけ写真3

下手に生首っぽいので置き場に困る

8時間以上の時間を費やし、ストレスに耐え奇声を上げながら作り上げた物体は、自分とは似ても似つかない、誰かの頭部だった…。

…いろんな意味で…完。

自分もやってみたいキャハ!という奇特な方はこちら ☞ Paper-Kit.com

やっぱ3Dプリンター欲しい

世間には、画期的スペックの機種が出そうという噂に振り回されて、結局買い時を逃し続けるという人種がいる。はっきり言って愚かであるし、見苦しい。そして、今の私はまさに愚か者である。